葬儀社勤務経験者が水戸市下入野斎場で祖父の葬儀を行った体験談をご紹介します。
2025年3月に祖父の葬儀を水戸市下入野斎場で行いました。
今回、葬儀から火葬まで全てを下入野斎場で行い、葬儀社の式場などは使用していません。
その点も含め、大切な方の葬儀を検討する際の参考になれば幸いです。
膵臓がんが見つかった祖父との別れ
祖父がレベル4のすい臓癌で余命数ヶ月と宣告され、闘病の末、約2年後に亡くなりました。
祖母も家族も非常に動揺しましたが、やはり祖父自身のショックが一番大きかったようで、普段からあまり弱音を吐かない祖父が祖母に涙を見せたようです。
余命宣告を受けてからは入院と通院を繰り返し、最後は在宅で介護を行いました。
祖父と顔を合わせて会話をし、食事を共にして、また何気ない話をする、そんな日常がこんなにも愛おしいと感じさせてくれる日々でした。
私たち家族が涙を流しつつも笑って葬儀を執り行えたのは、いずれ来る祖父との別れを覚悟しつつ、思い出を積み重ねることで精神的な支えを作れたからだと思います。
水戸市斎場(下入野斎場)を選んだ理由
祖父の葬儀は水戸市内にある下入野斎場で執り行うことにしました。
同じ水戸市内に「堀町斎場」があったにも関わらず、やや距離のある「下入野斎場」を選んだ理由は2つあります。
①新設されて2ヶ月で全ての設備が新品で綺麗だったから。
今回、私たち家族は葬儀の費用を抑える為に葬儀社の式場ではなく、斎場(火葬場)の式場を使用することにしました。
その為、より設備が新しく綺麗な下入野斎場で葬儀を執り行うことに決めたのです。
②火葬炉が新品だったから。
長く運営されてきた堀町斎場と異なり、火葬炉が新しく、火力が安定し焼骨にかかる時間が短いことから下入野斎場を選びました。
何より祖父の足には骨折した際のボルトなども入っていたので綺麗に焼骨ができるかは私たち家族の中では重要事項でした。
水戸市斎場(下入野斎場)で葬儀を行うまでの流れ
祖父が亡くなってから葬儀前日までの流れは以下の通りです。
- 死亡診断書の発行
- 葬儀社への依頼
- 葬儀の日程とプランの設定
- 納棺と通夜
それぞれの流れについて詳しく説明します。
死亡診断書の発行
死亡診断書とは、医師の診断のもと死亡した日時や場所、死因が診断された書類を指します。
また、火葬・埋葬許可証として使用し、斎場や墓地の管理者に提出する必要があります。
加えて各種行政の手続きや、保険・銀行・携帯電話の解約など様々な場面で必要です。
葬儀社のスタッフが死亡届の代行を行っている場合があり、その際にまとめてコピーをくれることが多いです。
祖父の場合、容態が急変してから先生が到着し死亡を確認するとすぐに書類が作成されました。
医者と遺族が必要事項に記入をすれば、呆気ないほど簡単に死亡診断書は完成します。
葬儀社への依頼
大抵の葬儀社は24時間対応しており、病院や個人、警察などから連絡があればすぐに搬送の手配に入ります。
この際に故人のご遺体を葬儀社の安置室に搬送するか、自宅でご安置するかを選べます。
祖父の場合は自宅で安置することを選びました。
祖父が最期まで過ごした寝室を整え、敷布団で眠る祖父の顔は穏やかで、家族全員が葬儀の準備の合間を縫って祖父に語り掛ける時間が取れました。
夏場であればより遺体の管理がしやすい葬儀社の安置室の方が状態を保てるかと思いますが、祖父の場合は3月と春先でしたので自宅安置でも眠るように綺麗な状態で葬儀を迎えられました。
葬儀の日程とプランの設定
葬儀社のスタッフが来たら、葬儀の日程とだいたいの予算から葬儀プランを決めます。
実際に斎場や式場、司式者の予定の確保・調整などを始めとして、必要な事のほとんどは2日ほどで決まりました。
また、葬儀費用を考え私たちは遺族・親族だけの「家族葬」を選択し、式場も市内の斎場に決めました。
自宅や故人宅に弔問客が長期に渡り訪れるというデメリットもありますが、家族だけで他に煩わされることなく葬儀を行えることは家族葬の一番のメリットかも知れません。
基本的に弔問は四十九日までに済ませるものですが、遠方から個人宅に帰省している場合などは特に対応が難しくなってくるので、その点も視野に入れて葬儀の形式を検討してみるのがおすすめです。
納棺
葬儀の前に行う故人を棺に納める儀式を「納棺」と言い、ご遺体の腐敗を防ぐために夏場は早めに行うことが多いです。
祖父の場合は清拭でした。
自宅安置のため、亡くなった当夜に訪問介護のスタッフ主導のもと家族全員で行いました。
お疲れ様、頑張ったね、もっとゆっくりでも良かったんだよ、相変わらずせっかちだね、と声を掛けながら熱い湯とタオルで祖父の体を清めていきました。
納棺は葬儀の前々日に行い、この際に副葬品として手紙や写真、お菓子や帽子、野菜の種などを入れました。
祖父が天国でも楽しく暮らせるように家族で相談し選んだ物で、火葬前を除くと故人とゆっくり話して触れる最後の機会になります。
通夜
葬儀前日の通夜は一般的なスタイルですが、地域によっては行わないなど形式は様々です。
私が住む茨城県水戸市の周辺ではほとんど通夜を行いません。
宗派によっては非常に厳格に執り行う場合もあれば、柔軟に対応していただける場合もあるので、事前の挨拶や打ち合わせの際にきちんと確認しておけば安心です。
葬儀当日の流れ
葬儀当日からその後の法要までの流れは以下のように執り行いました。
- 出棺・先火葬・収骨
- 葬儀・告別式・初七日法要
- 納骨
それぞれの流れについて説明します。
出棺・先火葬・収骨
自宅や葬儀社から納棺されたご遺体を火葬場に搬送することを「出棺」と言います。
今回、私たちは斎場で先に火葬を行って、後から葬儀(葬儀・告別式・初七日法要)を行いました。
斎場の式場を利用する際には、ご遺体を置くスペースがない場合があり、先に火葬をし骨壺に収めた状態で葬儀を執り行う場合が多いです。
火葬前が故人の顔を見る最後の機会になります。
実際にお別れ花を棺に入れ、集まった親族も含めみんなで祖父に声を掛け、最後の別れを済ませました。
火葬には1〜2時間ほど時間が掛かり、祖父の場合はおよそ1時間ほど待ち、先火葬なので休憩として軽食をとりました。
後火葬の場合は収骨までの待ち時間を忌中払いとする場合もあります。
また火葬前に斎場へ火葬許可証の提出が必須になり、収骨前には埋葬許可証を渡されます。
納骨の際に墓地の管理者に提出するので紛失に注意しましょう。
焼骨が終われば次は遺骨を骨壺に収める「収骨」です。
祖父の場合は投薬などで最期は痩せてしまいましたが、鎖骨や肩や腕、骨盤に大腿骨など太さのある骨のほとんどが見て分かるほどに残っており、みんなで驚いたのを覚えています。
葬儀・告別式・初七日法要
葬儀・告別式に関しては地域や宗派、司式者によって形式が本当に様々です。
今回、私たちは葬儀・告別式と共に行う「繰り上げ初七日法要」を執り行いました。
本来「初七日法要」と言えば故人が亡くなった日を含んで七日目に行う法要なのですが、近年では忌引き休暇や核家族化による遠方への参列など、どうしても長く休みを取ることが困難になっています。
加えて近年、火葬需要が高まり火葬までに1週間ほどかかる事例が増えたため、葬儀と初七日法要を一緒に行わざるを得なくなっている場合も多いです。
実際に私たちは、祖父が亡くなってからちょうど7日目に、1日で葬儀を執り行う「一日葬」の形式をとりました。
納骨
葬儀が終わったので身内の会葬者とは下入野斎場にて散会しました。
その際に花祭壇をまとめ直した花束を渡し、忌中払いの会食の代わりに忌中払い弁当を配りました。
今回はすぐに納骨を行いませんでした。
なぜなら、墓地を急いで決める必要はなく、骨壺に収めたご遺骨は自宅に置いておけるからです。
近年では墓石ではない埋葬のスタイルも流行っており、決して安い訳ではないのですが、お墓の維持費や世話人の有無、墓じまい(綺麗に解体・撤去して墓地の管理者に返還すること)のことも考慮して検討したいと思えば、時間はどれだけあっても悩ましいものです。
今後のことを考えつつ、祖父が休める場所をゆっくり探していきたいと思います。
下入野斎場での葬儀費用
今回、祖父の葬儀を下入野斎場で執り行い、葬儀費用の総額は約60万円でした。
このほかにも追加の返礼品や御布施代など必要な費用は少なくなかったですが、香典などで多少はカバーができます。
実際に私たちは葬儀を斎場の式場で執り行うことで費用を大きく削減しました。
私たちは家族葬で人数を絞ることで式場・待合室の費用を最小限に抑え、その分を祖母の希望の通りお弁当や返礼品にプラスしました。
重要なのは「妥協点はどこなのか」です。
自分や家族、故人にとっての「ちょうどいい」を見つけることが円満な葬儀への近道だと思います。
感想とまとめ
水戸市斎場(下入野斎場)で葬儀を行ってみて、式場も待合室も真新しく清潔感があり、ロビーなど館内は窓が多く開放的で、木材が多用され柔和で明るい印象を受けました。
また、収骨室は大理石調がシックで美しく、厳かな雰囲気で火葬と収骨ができました。
斎場内は全てユニバーサルデザインで作られており、駐車場から館内の至る所まで快適で配慮の行き届いたバリアフリー空間になっていました。
車椅子での会葬も安心できる、細部まで心を配られた空間で祖父の葬儀を終えることができて、心から嬉しく思います。
どうかこの体験談が、大切な方の葬儀の一助となりますと幸いです。